とことん「本質追求」コラム第119話 成長のターニング・ポイントをつくる4つの視点

『売上が上がらない原因を外部環境のせいにしている限り、停滞は続きますね…』

前回のコラム(第118号 営業部隊の生産性向上は「量」がカギを握るのか?) を投稿後、たくさんの賛同の言葉を頂きました。

 

特にクライアント企業の社長さん方と一緒に飲んだ時には、この話題で大盛り上がりしました。

 

✔ 人口減少しているから、売上が下がった…とか。

✔ 不況だから、売上が下がった…とか。

✔ 業界が衰退しているから、売上が下がった…とか。

 

全部言い訳だよね、と。

 

冷静に考えれば分かりますが、人口減少も、不況も、業界の衰退も、自社の売上減少とは、関係ありません。

 

もちろん、影響がない…とは言いません。
しかし、それが「原因だから仕方が無い…」と思考停止してまっては、業績アップのターニング・ポイントは作れないのは事実です。

 

実際、人口減少しているなか、内需が稼ぎ頭のセブンイレブンやニトリは、業績を伸ばし続けていますし…

 

バブル崩壊で、日本中が沈滞ムードにあるなか、私が当時勤めていた会社は、最高益を上げていました。

 

市場規模が25%も縮小している外食産業でも、サイゼリアやスシローなど成長し続けている企業もいます。

 

日本の経済状況や人口動態が業績に強い影響を及ぼしそうな数千億企業や数兆円企業でさえ、ネガティブな外部環境に関わらず売上を伸ばし続けています。

いえ、環境に関わらず…と言うより、環境変化を逆手にとって自社のチャンスに変えている…と言った方が適切な表現でしょう。

 

前回のコラムでは、焦点を営業マンの行動レベルに絞ってお伝えしましたが、今回はもっと視野を拡げて、漏れなくチャンスを見いだす為の視点をお伝え致します。

 

成長のターニング・ポイントをつくる視点は4つあります。

 

1.商品そのものを見直す。または「切り口」を見直す。

2.価格を見直す。または、価格の打ち出し方を見直す。

3.ターゲットを見直す。または流通チャネルを見直す。

4.市場とのコミュニケーション方法または内容を見直す。

(営業部隊の取り組み方の見直しも含む)

これは、マーケティングの定義に出てくる4Pを噛み砕いた表現に変えたものです。

4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通チャネル)、Promotion(プロモーション)の頭文字をとったもの。

この4つの要素を最適化することで、成功するプランニングを作っていく…というものですが、かなり使い古された概念で、この視点はあまり重要視されなくなってきています。

 

それでも私は、とても重要なフレームワークだと思っています。

 

売れるアイディアがでない時に、頭を整理しながら思考していく道筋を与えてくれるからです。

 

ただ、4Pの定義だけだと、イメージが湧きません。

なので、上記の「アイディアの源泉を探る4つの視点」のように、自分なりに具体的な「売れるアイディア」の発想がでやすいように定義しなおしています。

 

具体的な使い方を、一例をもってご説明しましょう。

 

たとえば、きもの市場は、1995年に1兆2500億の市場がありましたが、現在は2000億前後と83%も市場が縮小しています。

この動きに一企業が歯止めをかけることは出来ません。

競合もバタバタと倒れているので、1企業あたりの市場母数の変化を見極める必要はありますが、いずれにせよ

着物を着物と捉えている限りは、市場縮小の飲まてしまう可能性は大です。

 

そこで
1.の視点で見れば…

着物の素材をいかして「ドレス」にしたり出来るかもしません。
または、着るものではなく「美術品」や「雑貨」として再加工することも考えられます。

 

2.の視点で見れば…(価格の打ち出し方)
販売ではなく、ホテルや日本料理店への法人市場に「レンタル」にすれば、購入するよりも費用負担を抑える提案ができるかもしれません。

 

3.の視点で見れば…(ターゲットを変える)
今、振袖販売やレンタルで新しい脅威である「写真屋さん」を敵と見なすのではなく、新しいチャネルと捉えることも考えられます。(写真屋さんは、振袖レンタル料1000円とかで集客をして、写真で儲けるビジネスモデルが一般的になっています)

4.の視点で見れば…(市場とのコミュニケーション方法を変える)

今まで焦点を絞って営業をしてこなかった市場層に集中的な情報提供をすることは有効なので、外務省や世界に進出している大手企業のご夫人方にアプローチできるよう飛込み営業で探ってみる。

 

など、行き詰まった状態であっても、この4つの視点があれば、様々な方向から、様々なアイディアが湧いて出てきます。

 

その中から、競合他社が誰も手掛けていないアプローチで、最小限のコストで最大の効果が得られそうな「仮説(アイディア)」に絞ることで、業績飛躍の方向性が生まれてくるのです。

先週、ダイキン工業が売上高3700億円で赤字に転落した際、膨れ上がった事業を削ぎ落とし「空調事業」一本に絞って立て直し、20年で1兆7800円まで成長させた…とTV番組で放映されていました。
それを見て確信したことがあります。

 

勝ち戦につながるアイディアを徹底的に絞りだし、そこに1点集中すること。
これが、業績飛躍のターニング・ポイントにつながることは間違いありません。

 

事業はアイディア一つで、未来の方向性がガラッと変わります。

御社は、その貴重な成長の源泉であるアイディアを出す為の「仕組み」に、神経を行き届かせていますでしょうか?