『今日は暑いですー。これじゃ熱中症になってしまいます』
今夏に、飛び込み営業と称した市場調査をクライアント企業のご担当者と行った時のことです。
普段も飛び込みで新規を狙っているというので同行をお願いしたら…冒頭の言葉。
思わず唖然としてしまいました。
まだ一歩外に出たばかりです。
すでに心が負けている状態で、勝負に勝てるはずがありません。
コンサルタントが自分の仕事を見て評価しているのか?
と言う不安や恐れもあるでしょうが、あまりにも低レベルです。
自分の評価だけが気になって、組織に対する貢献は二の次という心の状態になっているのですから。
少なくても給与をもらっている以上、組織に貢献するのが社員の務めです。
いえ、もっと突き詰めて正していくと社会に貢献するために会社があり、会社という手段を使って私達は、社会の発展に働きかけないといけないわけです。
社会なくして、個人が存在できない以上、これは義務であると私は考えています。
冒頭の方だけでなく、実は9割以上の確率で私と同行するご担当者は、私が聞きもしないのに言い訳をしてきます。
『実は今日微熱がありまして…』
『ここ最近珍しくスランプなんです』
『最近、彼女と別れて落ち込んでいるんです』
これが末端の営業マンであれば『またか…』とため息をつく程度ですが、幹部だったりすると怒りに似た感情がメラメラと燃え上がってきてしまいます。
これもお決まりのバターンですか、こういう幹部は、たいていが内弁慶で社内では偉そうにしているからです。
部下たちはいい迷惑です。
人の一生は長くないのに、社会に貢献できるチャンスや時間を、奪われてしまっているのですから。
「言い訳」は、結果を出す事に対する逃避言動以外の何者でもありません。
できない言い訳を考えるアタマがあるなら、出来る可能性を考えるアタマもあるハズです。
言い訳をしているうちは、業績に好影響を与える事はありません。
売上は良くて横ばい。通常であれば下方傾向を辿る事は至極アタリマエの現象となります。
私がセミナーで良くお伝えしている時代を捉える方法の一つに「慣性の法則」というものがあります。
「慣性の法則」とは、ニュートンの運動法則のひとつで「静止または、等速直線運動している物体は、外部から力を受けないかぎり、その状態を変えない」というセオリーです。
これは、京都大学の中西輝政名誉教授が執筆した「本質を見抜く考え方」(サンマーク出版)に書かれているものですが、人の思考回路や組織の活動にも当てはまると私は考えています。
つまり「言い訳」が常態化した個人を抱えた組織は、それが他の社員にも伝染し、その伝染した思考回路が、組織活動を停止または、非生産的な活動へと等速直線運動をしていく…。
その思考・行動の結果は、当然のごとく業績とも連動し、業績の頭打ち、または下方曲線を描いていくことになるのです。
これを打破する仕掛けは一つしかありません。
ニュートンの法則に習い、言い訳を排除するための外圧をかける必要性があるのです。
と言っても、社員の首に縄をつけて引っぱり回し「言い訳するな!」と叱咤激励しても意味がありません。
人は、そんなに簡単には変わりません。
その場では、言う事を聞いたように見えても、月日が経てば元に戻ってしまいます。
では、どうすれば良いのか?
人は変わりませんが、環境は変えるのです。
環境を変えれば、自然とその中に住むために個体を環境に合わせる必要がでてきます。
名著「ビジョナリーカンパニー」—時代を超える生存の原則—のなかでも、様々なビジョナリーカンパニーの事例を挙げていますが、共通するのはカルト集団のような企業文化をもつこと。
そして、それに合う社員だけが残り、合わない社員は自然といなくなるような社風が確立されているという共通点があることが明らかにされています。
これは何も乱暴なことではないと思います。
その証拠に、このような証言も書かれています。
ある社員が語ったビジョナリーカンパニーから転職していった感想です。
「あの会社(退職したビジョナリーカンパニー)では素晴らしい経験をした。しかし私は合っていなかった。あの会社では信じられないほど幸せだという友人が何人もいる。本当にあの会社が好きなのだ。それを疑う理由はない。あの会社は偉大な会社なのだ。しかし、私には今の会社の方がいい」
つまり、自社の性格、存在意義に共感を持って働けない人は去り、共感を抱いた仲間たちが、その達成すべき目標に向かって力を合わせることで業績を伸ばしていく。
この環境づくりに心血を注ぐ事が、組織をあるべき方向に進めていく唯一無二の法則なのです。
繰り返しますが、これにブレーキをかけるのが「言い訳」をしている思考回路です。
あれやれ、これやれ。
ああしろ、こうしろ…と、手段ばかりの指示命令が多くなると、「言い訳」が始まります。
まずは、トップやリーダー層が、この「普遍の人間心理」に気づく必要があります。
手段ではなく、目的に対して、求心力を持つように環境をつくっていくことが大切です。
企業としての存在意義、社会(顧客を含む)に対して貢献すべきことなどの「大義」に対して「言い訳」があるようでは、そもそも仲間(社員)ではないのですから。
これも常にセミナーでもお伝えしていますが、そもそも自社の営業戦略を成功に導くためには「自社が有利に戦える市場の選定」にかかっています。
有利に戦える市場とは、
①.競合他社を寄せ付けない強みがあり…
②.顧客の真の欲求や欲望に根ざしたセールスアプローチがあり…
③.さらに、商品・サービス・売り方が「時代」にマッチしていること。
この3位一体が揃って、初めて「顧客に貢献できる事業モデル」となり結果、顧客から支持をされ、業績の飛躍へと繋がっていくのです。
これこそが、企業としての存在意義であり、社会(顧客を含む)に対して貢献すべきことの「大義」であると藤冨は確信しています。
御社は、社員の心から言い訳を排除する環境づくりを意識していますか?
そのための「大義」の明文化はできていますか?
そして具体策としての、「有利に戦える市場」を明文化していますか?
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