第221話 持続的に利益を稼ぎ出す発想法

2016.8.16

 

「他社のモノマネはしない方が良い。でも《 概念的模倣 》であれば、良いのですか?」

 

先日、コラムの更新をお伝えするメルマガでお伝えした「直接的模倣」と「概念的模倣」の違いについて、読者の方からご質問があったので、改めて説明したいと思います。

 

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様々な捉え方があるでしょうが、私は 《 直接的模倣 》 を発想する人や企業は、持続的な成長ができないタイプであり、《 概念的模倣 》をする人や企業は、持続的に成長できるタイプだとの見方で捉えています。

少なくても、《 直接的模倣 》が習慣づくと、成功モデルや成功パターンに依存せざる得なくなり、ある種「麻薬中毒者」のようになってしまいます。

 

理由を説明するまえに言葉の定義をおさらいしましょう。

 

《 直接的模倣 》とは、ハンバーガー屋が儲かっている!と聞けば、そのままハンバーガー屋に参入する発想。

 

《 概念的模倣 》とは、新幹線や飛行機など、高速移動手段が日常化するから、摂食活動も高速化するだろう…と「高速」という概念を、食に取り込んで「ファーストフード事業」に参入する発想であるとメルマガでは、お伝えしました。

 

成功モデルを模倣する発想は、すでにニーズが顕在化しているため、労少なくして売上に繋げて行く事が出来ます。

 

販促活動などにおいても、顧客心理に沿ったものであれば、そのまま転用してスグに効果に結びつける事ができます。

 

しかし、《 直接的模倣 》に限って言えば、社員を抱える中小企業が採用するのは、危険極まりない発想です。

 

 

半年前ほどのコラム「なぜ、目の前の成功事例に踊ると組織は腐っていくのか」でも書きましたが、有名な大手コンサルティング会社も、こういった直接的模倣を推奨しているので、あたかも正しい事業活動に錯覚しがちですが…

ハッキリ申し上げて、麻薬密売人が薬物依存症になるのを承知の上で中毒者を増殖させている発想と酷似しています。

 

賢明な方なら百も承知のことでしょうが、《 直接的模倣 》というのは、市場を急成長させる働きがありますが、その反動で急速に陳腐化してしまい作用も持っています。

 

この急速に陳腐化するなかで売上減に見舞われると、《 直接的模倣 》をした人や企業は極めて高い確率で対策を見誤ります。

 

なぜか…

 

それは、根源的な見方から言うと、パクリ思考が習慣づいているので自分の思考に自信がないからです。

また、《 対処 》 することが「クセ」となっているので、《 対策 》が講じられないからです。

 

メルマガにも書きましたが、市場のリーダー格が、ベンチャーのモノマネをするのは、ある種正しい(?)行動として捉えられています。

 

模倣とは呼ばず《 同質化戦略 》と言葉にお化粧をして、正当化しているわけです。

 

ベンチャーがヒットさせた「新商品」を丸パクリして、人・モノ・金を圧倒させて市場における地位を守るわけですが、この資本力があってこそ、できる技だということを理解しなくてはいけません。

 

小資本で戦うことが前提となるのであれば、《 概念的模倣 》の視点を持つことが大切です。

 

「なぜ、競合の商品は支持をされているのか…」「なぜ、あのヒット商品は支持されているのか…」を観察し “顧客メリットや利益“を洞察して、他に策はないか?と発想していくのです。

 

この発想があれば、自ら市場を創り出す力がつき、同じ市場での成功モデルがなくても、自らの力で経営をすることが可能になります。

 

ビール市場での成功例を清涼飲料水市場に概念的模倣をした実例を見てみましょう。

 

カロリーゼロ、糖質ゼロ、プリン体ゼロ、アルコールゼロ…など、風味は「ビール」でも全く異次元の飲み物が市場に定着していました。

 

これを概念的に翻訳すると「辞めたくないけど、似たようなので誤摩化す商品」としてみる事ができます。

 

つまり「カラダに悪そうだから、本当はやめたいけど……これならいいでしょ」と、真の欲求を代替案で我慢する商品と見る事ができます。

 

これを清涼飲料水市場でやったのが、今年の7月19日に発売されたアサヒ飲料の「ウィルキンソン タンサン ドライコーラ」という商品です。

 

これは普通の炭酸水に「コーラー」の香料だけを入れ、砂糖ゼロを実現した飲み物です。

 

市場の評価は「マズイ」「中途半端な商品」と手厳しい意見も出ていますが、コンセプト的には、とても優れた商品だと評価できます。

 

ゼロを切望する消費者は、不健康な食生活にネガティブな感情を持っている人です。

 

なのに、カロリーゼロを歌っている清涼飲料水は、その根拠が分からない。

あんなに甘ったるいのに、なぜカロリーがゼロなのか? もしかして…大量の添加物が入っているのではないか?と。

 

不健康な食生活にネガティブな感情を持っている人から見ると、とても支持しがい商品です。

 

ところが、「ウィルキンソン タンサン ドライコーラ」は明快です。

炭酸水に香りを加えただけだから、当然砂糖もカロリーもゼロです。

 

普段、自動販売機やコンビニで水しか買わない私でも手を伸ばした商品です。

 

ゼロ商品が習慣化している人の生活パターンや行動モデルをしっかりと洞察すれば、行き着くところは自ずと決まっています。

 

つまり成功している商品を観察するのではなく、買っている人の心理や行動を観察することで、類似市場や別市場におけるヒットの要素を正しく自社市場に取り入れることが出来るようになるのです。

 

居酒屋業界は市場全体が不調だと言われていますが、この発想が足りません。

だから、深刻な売上減から脱出できないのです。

 

もっと、広く顧客を見つめれば、打ち手はまだまだ山のようにあるはずです。

 

あなたは、類似市場や他分野のヒット商品が「なぜ売れているのか?」 顧客視点をもって分析・洞察する訓練を習慣づけていますでしょうか?

 

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