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第391話 新商品が市場から受け入れられるために一番大切なこと。

 

 

 

「藤冨さん、この商品を企業の福利厚生商材として売りたいです。どう思いますか?」

 

旧知の企業の役員を務める方から久しぶりに一献傾けませんか?とお誘いいただき、都内居酒屋で合流。

 

単なる雑談かと思いきや、ご相談ごとだったので、最初の一杯はペースを緩めながらお話に聞き入りました。

 

何やら、新商品をこれから販売推進するらしく、その助言が欲しかったようです。

 

チラシも出来上がり、プレゼンテーションもよく練りこまれていました。

 

しかし、5分ほど聞き入りましたが、どうも売れる匂いがしてきません。

 

可能性はゼロではないにせよ、営業部隊に「売ってきてくれ!」とバトンを渡したところで、9割以上出鼻をくじかれるのが目に見えてしまいました。

 

詳しいお話はできませんが、ざっくり言いますと、福利厚生として企業に売り込みたい商品…とのこと。

 

昨今、人材不足により、企業は定着率の向上にあの手、この手の施策を打っているとのことで、その一環として当社の商品が企業から受け入れられるのでは?

 

という仮説です。

 

確かに、人材不足に頭を抱える企業も多いのは肌感覚として分かります。

また、従業員定着率を向上させたい…という意識の高まりも確かに感じます。

 

しかし、ご相談いただいた商材が「従業員の定着率」に貢献するとは、どうにもこうにも思えないのです。

 

市場の問題点を自社商品が解決できると、無理やり作文しているケースは意外にも少なくありません。

 

今回のご相談は、まさに「ちょっと作文にムリがあるのでは?」と感じました。

酒席をご一緒した大先輩コンサルタントの方も同じように感じていたらしく終始険しい顔つきで黙りこくっていました。

 

場の空気が重たいので、「まぁ2−3社お声がけしてみて意識だけ聞いてみましょうか?」と受け流し、2杯目のお酒を頼みながら、談笑へと持っていくついでに、全く別切り口の提案をしました。

 

この商材は、企業の福利厚生向けではなく、お酒を出す飲食店向けに売った方が間違いなく売れますよ!と。

 

その提案イメージを営業トークに交えながらお伝えすると、大先輩コンサルタントが大笑い。

「その通り、それならもっとこうした方が良い!」とどんどんイメージを膨らませていきました。

 

私も調子に乗って、さらにぶっ飛んだ企画を付け加え、お伝えするともう笑いが止まらない。

 

今すぐにでも「新しいコンセプト」のチラシができるくらい商品イメージが固まっていったのです。

 

 

我が社の新商品が市場に受け入れられるのか?

これをチェックする最も簡単な方法は、仮説上でのロールプレイングイメージです。

 

あたかも商品がある様にイメージをして、営業トークを組み立ててみるのです。

 

 

多くは、上述の企業の様に「プレゼンテーション資料」に纏めてしまいます。

 

プレゼンテーションは一方通行のイメージなので、綺麗に纏まりやすい反面、相手の本当の欲求を軽視するリスクがあります。

 

しかし、営業の商談イメージを行えば、必ず「掛け合い」がイメージをするので、相手の気持ちが浮き彫りになっていきます。

こちらが、商品が必要となる背景、自社商品の特徴、そして顧客が受け取る効用を伝えたところで、相手は間違いなく「いや違うでしょ!」と言う反論が生じるもの。

 

その時の、応酬話法…つまり掛け合いが自然に行うことができなければ、営業現場で苦戦することは目に見えてわかるわけです。

 

帰ってからも調べてみました。

 

企業が求めている「福利厚生に求める本質」を。

 

すると、福利厚生の主な目的は

 

  • 社員の帰属意識を高めること。
  • 低次の欲求(生理的欲求や安全欲求・社会的欲求)を満たし、高次の欲求へと移行させるため。

 

などです。

 

したがって、仮説のセールストークを組み立てるとき、現象(商品)に惑わさることなく、買い手の目的に沿って話した時に、その目的はその商品では果たせないでしょ…。百歩譲っても、役不足でしょ… と相手が感じる様では、売れないわけです。

 

売りたい気持ちを抑え、買いたい気持ちに寄り添って考えることが大事です。

 

 

新商品開発の難しいところは、どうしても売りたい気持ちが前面に出てしまうことです。

 

したがって、新商品を発売するまでのプロセスに「買い手の気持ちに寄り添う要所」を意識的に組み込むことが大切なのではないでしょうか?

 

大手企業であれば、意識調査をしたりアンケート調査をしたり、またグループインタビューの様に消費者の潜在意識が引き立つ質的調査を行ったりしています。

 

費用も数十万円から数百万近くかかるために中小企業では、あまり行われていません。

 

しかし、市場調査にそんなに投資をしなくても、冷静になって自社商品のコンセプトを見つめ直す機会をしっかりと作ることが出来れば、「買い手の気持ち」に寄り添うことは十分に可能です。

 

私が、20代の時に勤めていた「日本オリエンテーション 松本 勝英先生のメソッド」の「場面開発」という手法がそれです。

 

例えば、新しいカップラーメンを開発するとき、新しい場面はないか?と想像してみます。

 

「昼」「夜」「夜食」に食べられるイメージはあるけど、「朝にカップ麺」はないよね… と言う人が多ければ、今の世の中には、朝食に適したカップ麺がないことがわかります。

 

ラーメンはないけど、朝食にパスタならあるよね。と言う消費者が一定数いれば、パスタの即席麺市場が形成される可能性がある…。

 

この様に場面から、あるべき商品を作り上げていく手法です。

このケースだと、場面から見ているので、消費者の気持ちに必然的に寄り添うことができるわけです。

 

冒頭の福利厚生商材として売り出したい…と言われていた商品の特性は、ゲーム性です。

 

そのゲーム性が受け入られる「場面」はどこか? と想像していくと、消費者の気持ちになって考えることができます。

 

新商品は、開発した後に、チラシを作ったり、ホームページを作ったり、営業マンが交通費を使って顧客に説明したり…とコストが発生します。

それだけでなく、製造、営業、販売促進と、たくさんの人が絡むため、膨大な時間が投入されます。

 

 

無駄金になるか、それとも生きた投資になるか。

 

その判断は、消費者となる買い手が行うわけです。

 

良い判断をしてもらうために、最初から買い手の気持ちに寄り添っていれば成功確率が上がるのは、ある意味当然です。

 

御社では、新商品開発の際、顧客の気持ちに寄り添うための「要所」を意識して作り込んでいますでしょうか?

 

 

 

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