とことん「本質追求」コラム第453話 売上を右肩あがりにする3つの視点

 

『ハードだけ差別化しても意味なかったのですね(笑)』

 

以前、藤冨のコンサルティングを受けられたクライアントと久しぶりにZOOM会議で顔を合わせました。

 

コロナ禍で全体の売上はかなり低迷しているものの、ご一緒したプロジェクトの商品は健闘しているとのこと。

 

確かなニーズに突き刺さる商品であり、それが潜在客に正しく伝われば、売れないはずはありません。

 

売れない商品・サービスは、主に3つの原因に帰結しているので、逆に言えばそれさえ克服できれば、必ず売上は右肩上がりになるのです。

 

売上を右肩あがりにする3つの視点としてまとめてみましょう。

 

 

  1. 大胆にターゲットを絞り込む

 

潜在客が抱える欲求の源泉である「不(不満、不足、不自由など)」をクリアにするためには、大胆にターゲットを絞り込む必要があります。

例えば、都内のビジネス街で「ランチ」を提供しているイタリアンレストランがあるとします。

同店のウリは「店内のピザ釜で焼き立てを提供するピザ」ですが、競合店もピザを提供して「美味しさ」で競っています。

この「美味しさ」で競うのが、非常に曖昧かつ捉え所のない競争を繰り広げており、より良い満足を提供しよう!という努力も曖昧にしてしまいます。

そもそも、お客様が「美味しさ」を求めているのは、必要条件であり、十分条件ではありません。

しかも「美味しさ」というのは、人それぞれの「好み」があり、努力目標値が定まることはありません。

ターゲットが曖昧になると、努力目標も曖昧になります。

努力目標が曖昧であれば、結果も曖昧になります。

これは火を見るより明らかです。

 

そこで、例えば…ですが、「血糖値上昇を気にしている人」をターゲットにするというアイディアを掘り下げて考えてみましょう。

吉野家が業績をV字回復させたサイズバリエーション戦略は、「並盛でも量が多い女性や高齢者」に「小盛り」を提供することで、新市場にうまく刺さりました。

結果、「血糖値を気にしている人」にも刺さり、売上を飛躍させたと言われています。

さらに、米が一切入っていない「ライザップ 牛サラダ」も発売1ヶ月で100万食を突破。

糖尿病患者は予備軍を含めると2000万人もいると言われていますから、このターゲット設定を見逃す手はありません。

 

イタリアンも、これに倣って2/3ピザを提供し、プラスαでお腹にたまるサラダやスープのオプションメニューもクロスセルしていけば、信者も増えるし、客単価を上げる余地も出てきます。

 

どんなメニューが血糖値を気にする人から支持されるか?

ターゲットを鮮明にすると、より具体的な努力目標値が見えてきて、それが顧客の評価に繋がっているか否かを確認しやすくなります。

 

ターゲットはできる限り鮮明にすることが売上を上げる大事なポイントになります。

 

 

 

  1. 顧客が『それ良い!』と気づくメリットを打ち出す

 

思うように売れていない事業。

反応の薄いホームページやDMを分析すると、おおよそ「商品の特徴や機能説明」しか打ち出されていません。

 

・我が社の加工技術は、精度が高いんです。

・我が社は、アフターフォローが充実しているんです。

・我が社は、業界ダントツの「軽量化」を実現したんです。

 

差別化を打ち出すために、懸命に努力をし続けた結果、優れた技術を持ち合わせているにも関わらず、潜在客や見込客に「良さ」が伝わらずに残念な結果に甘んじているケースがとても多い…

藤冨は、こんな現実をこれまで多々みてきました。

 

「精度が高い?」「アフターフォローが充実している?」「軽量化?」

 

競合他社も同じことを謳(うた)っていませんか?

せっかくの企業努力の賜物である「差別化」も、「セールストーク」の差別化ができていないばかりで、無力化してしまっています。

非常にもったいないことです。

 

精度が高いとは、顧客にとってどのようなメリットがあるのか?

精度が高いと、検品作業時間が減り、以前と比べてどの程度作業時間が減ったのか?

この具体的な顧客メリットが、自社の特徴を差別化させる「ウリ」になるのです。

 

アフターフォローが充実しているのであれば、人手が少ない今、作業を止めずに運用できた時間はどのくらいなのか?

軽量化の実現が、具体的にどんなメリットをもたらしたのか?

 

そこまで掘り下げて、「セールストーク」を磨き上げることが肝心です。

顧客が「それは良いね!」と気づいてくれる「言葉」の開発ができてこそ、初めて「差別化」が成功したことになるのです。

 

 

  1. 使用場面をイメージできる工夫を施す

 

メリットを感じただけでは、購買意欲に火はつきません。

顧客が「具体的な利益」を感じた時に、初めて購買意欲に火がつくのです。

 

これには「使用場面」を見せて、商品を購入した際の「利益」を連想させる方法が有効です。

 

ジャパネットたかたさんは、この場面を見せる天才でした。

 

例えば、シークレットブーツの販売をしたとしましょう。

履くだけで身長が高くなる靴ですね。

 

履けば、身長が高くなるメリットは、すでに顧客は知っています。

でも、その身長が高くなった時にどんな利益を享受できるのか?

見込客は、まだイメージできていません。

 

そこで、

合コンの時に身長を高く見せる。(←後からバレますね。あくまでも例えとして理解してください)

写真撮影の時に足が長く見える。

 

などなど、使用場面を見せること、商品を購入した利益(モテる、記念に残る)がイメージ連想できるようになるのです。

 

手間だと思わず、しっかりと使用場面を「ホームページ」「提案書」「チラシ」などに織り込むことで売上は着実に上がっていきます。

 

売上を右肩あがりにする3つの視点を一言で言うと「顧客目線から商品提案を考える」ことです。

 

簡単なようで、突き詰めることは、なかなか大変。

でも大変だからこそ、売上は「大きく変わる」のです。

 

御社では、顧客目線から商品提案を突き詰めて考えていますか?