とことん「本質追求」コラム第520話 成功体験に溺れると自滅するたった1つの理由とは

「新規採用の営業マンが定着せずに、困っています。最近の若者は根性がなくて呆れますよ。でも、このままいくとジリ貧です。先生の知り合いで活きの良い営業マンはいないでしょうか?」
ここ最近、同様の相談が3件も立て続けきにきました。
少し詳しく話を聞けば、どの企業も「問題の根本」には一つの共通点がありました。
その共通点とは、創業者が過去の成功体験にしがみついているのが原因です。
置かれている状況が変わっているのに、その事実を認めずにそのまま腕力だけで、第二成長軌道に乗せようとしているのですから、そりゃ苦戦するのはアタリマエ。
でも、当の本人は、至って真剣に「努力が足りない」と信じてしまっているのです。
「私も年だから…以前のように努力ができなくって…」
と自戒しているなら、まだ救われる可能性はあります。
しかし、「最近の営業マンは根性がなくて…」とボヤいているようでは、残念ながらジリ貧になっていくのは火を見るより明らかです。
なぜって?
理由は、簡単です。
苦戦の原因を「他者責任」にしているからです。
他者責任が、苦戦をさらに泥沼化させる理由は、とてもシンプルです。
これは、法人の企業活動であろうと、個人の生き方にせよ、構造は全く一緒。
「問題が起きている”原因”を突き詰める精神力が衰えているからです」
問題が起きている原因を突き詰めることができなきゃ、事実が歪曲されてしまいます。
事実が歪曲されれば、適切な対応ができない。
適切な対応ができなきゃ、問題は改善されない。
いつまで経っても、思い通りの成果が出せない。
極めてシンプルな構造です
例えば、子供が勉強をしなくて困っている親がいたとしましょう。
その親が「学校や友達のせい」にしたとしていたら、その子は勉強に興味を持つようになるでしょうか?
偶然に恵まれ、素晴らしい担任の先生が、その子に興味を持ってくれ、学業の楽しさに目覚めれば良いのですが…
そんな「雨乞い的な生きる姿勢」で、好転するほど、人生は甘くはありません。
大切なことなので、繰り返しますが、「問題が起きている”原因”を突き詰める精神力が大切です」
あえて、「突き詰める精神力」と表現しているところに注目してください。
問題が起きている原因を突き詰めることは、決して簡単ではないからです。
多くのケースでは問題の原因を追求する過程において、自己否定を伴う可能性があります。
今の世の中は、「あなたのままで良い」とか「そのままで価値がある」などと、安直に自己肯定感を満たすような悪魔的な風潮があります。
悪魔的と表現したことは、努力せずになんとかなる!と情報の受け手が解釈した場合、その人は自滅に向かうからです。
苦境に立たされた時は、羊の皮を被ったオオカミに気をつけなくてはなりません。
・売上が伸び無くなってきた
・社員の定着率が悪くなってきた(=将来の成長力が削ぎ落とされてきた)
などの、苦境に立たされた時は、まずは「問題の原因」を徹底的に追求しなければ、活路を見出すことはできません。
そもそも商品が伸び悩んでいるのは、時代の変化かも知れません。
以前は、売れていた商品であっても、あらゆる代替案が出現すれば、魅力も希薄化していきます。
魅力が減退した商品を担がせて、営業マンを駆けずり廻させたら、疲弊するのはアタリマエ。
新規採用した営業マンなら、「ヤバイ会社だ!」と思って去っていくし、古参社員は、テキトーに言い逃れをしながら「寄生虫」に成り下がってしまうのは、ある意味自然なことなのです。
そうです。問題を真摯に突き詰めない限り、会社であろうと生物であろうと、自然淘汰されていくのです。
皮膚に入り込んだ「トゲ」が化膿を起こしているのであれば、自らの皮膚を切り裂き、トゲを摘出しなくてはなりません。
問題の原因を深く追求するには、自己否定を伴う痛みが生じるので、とても強い精神力が必要なのです。
成功体験に溺れると自滅する理由は、実にシンプル。
今、置かれた環境を的確に掌握できずに、適切な努力ができないためです。
これから2〜3年以内に、激しい時代の断絶期に入ります。
いえ、正確に言うと、すでにその渦中に私たちは生きています。
過去の成功体験が通用しにくくなる時代に突入しているのです。
次の時代に生き、勝ち残るためには、次の時代を的確に掌握する必要があります。
過去の顧客と、これからの顧客を取り巻く環境も大きく変わります。

環境が変われば、必要となる商品やサービスも大きく変わります。
そこに自社の商品やサービスをいかに適合させていくか!
ここが勝負の分かれ道となるでしょう。
御社の商品やサービスを購入する「新しい顧客の顔、心理、購買行動」は、クリアに見えていますか?