とことん「本質追求」コラム第42話 売上に結びつく商品開発のススメ方

先日、訪問先企業で「このシステム面白くないですか?」と見せてもらったモノを見て、ビックリ。 

『コレだよ、コレ。最高の設計思想だなー』と思わず唸ってしまいました。 

その商品は「ジートル(Zeetle)」という店舗の販促支援システム。 

様々な面白い機能も気になりましたが、開発者の頭の良さを一番感じたのは、「目的」に徹底的に焦点が当たっていた「商品コンセプト」の美しさです。

軸が、まったくブレていませんでした。

皆さんもポイントカードシステムの1枚や2枚持っていると思います。 
そのカードを入手する際、お店で「名前」「住所」「電話番号」や「メールアドレス」を書いてカードをもらっているハズです。 
買い物するとポイントをつけてくれる代わりに、記録された住所にはダイレクトメールが、メールアドレスにはメルマガが送られてきます。

キャンペーンや新商品案内を通じて、購買を促してくるわけです。 

しかし、DMはコストが掛かる割には読まないでゴミ箱行きになる確率は高く、メルマガも、タダとは言え、開封もされず放置プレイされるハメになることが多いはず。

今では、初めて入ったお店で「ポイント会員になりませんか?」と言われても、住所やメールアドレスを書く時間が面倒だし、どうせ広告しか来ないから、別にイイよ…と会員にすらならないケースも大半です。 

ようは、会員になるのに面倒くさい割に、大したメリットがないことを消費者は学習してしまったのです。 

ここに「ジートル」は、店舗におかれた端末にスマホをかざすだけで会員獲得できるシステムを開発してきたわけです。 

決して「個人情報」を抜き取っているわけではありません。 
単に、スマホにダウンロードしたアプリを認識しているだけなのです。 

そのスマホが誰であろうと、そのスマホがお店に来た事がわかれば十分。 
キャンペーンや新商品開発の案内を既存顧客に配信したいときには、そのスマホに配信すればいいだけなんです。 

このように「目的」に焦点があたっていれば、余計な「個人情報」をお客さんに書かせないで済みます。
個人情報を取らなければ、加入率が上がります。
加入率が上がれば、配信件数が増えます。 
実にシンプルなロジックで「目的」が最大限に達成されています。

こんな事を言うと「いやいや、直近1ヶ月以内に3回来店し、合計で3万円以上購入した顧客は上得意だから、特別な販促をしないとダメなんだよ」とか、小難しい事を言う人がいます。 

そんな人に「なぜ、そんな管理をするのですか?」と聞くと。 

「それは、効果的な販促に繋がるからだよ」と答えます。 

「そうなんですか。効果的というからには、効果的な販促と効果的でない販促メールを把握されているんですね」と聞くと。 

「えぇ、まぁ大体は…」と元気のない返事が帰ってきます。 

「では、反応率の測定と、配信したメール文章を紐付けて、効果測定などの分析をし、どのような文書を送れば反応率が上がるのか… キチンと”仮説-検証”しているのですか」と、さらに突っ込むと、大抵の方は黙ってしまいます。 

大げさなな話ではなく、このように「目的」と「行動」が全くリンクしていないケースは、意外にも多いものです。

システム設計しかり、商品開発しかり、「どんな価値を得たいのか…という目的」に徹底的に焦点を合わせていかなければ、理想とズレたシステムや商品が出来上ってしまいます。

まず、「目的」を明確に定める。 
そして、それを達成するための「動的な行為」を、プロセス化する。
さらに、その行為を行うための「静的な構造(エンティティ)」を、漏れ無く、無駄なくピックアップする。 

この3段構えで企画・開発を行うと、実にシンプルな商品やシステムが出来上がります。

目的(顧客が受け取る価値)に焦点がしっかりと当たった商品は、セールスアプローチもシンプルになり、売上にしっかりと結びつくのです。

そもそも「目的」自体が、顧客の価値と結びついていないケースも多いのが現実。

売上が思うように伸びない商品は 、

今一度 「その商品は顧客にどんな価値を提供しているのか」
「顧客はそれを本当に必要としているのか?」

と問いなおして見て下さい。

きっと、商品コンセプトがブラッシュアップされ、売り方もシンプルになっていくハズです。 

しかし、「ジートル」はもったいない…。

商品コンセプトは良いのに、販売戦略で思いっきりミステイクをしているようです。

商品と売り方の連携を間違えると、せっかくの努力が水の泡になることが多いのです。。。 

途中で戦略転換をして、売り方が見直されることを願ってやみません。