とことん「本質追求」コラム第567話 オンライン販売サイトを優秀なセールスマンに変える方法

 

「今更ながらですが、通販に力を入れたいと思っています。ランディングページ(LP)を制作する業者で通販に詳しい方をご紹介頂けないでしょうか?」

先日、ご相談を頂いた案件ですが、藤冨のコラムで幾度かお伝えしている通り、セールスのことを熟知したホームページ制作会社は、極めて少数派だと思った方が無難です。

「少数派」というからには、優秀な会社を知っていると勘違いされてしまうかも知れませんが…自信をもって丸投げできる制作会社を藤冨は一社も知りません。

藤冨がお手伝いする際は、クライアント企業と一緒になってサイトの下書きをバッチリ仕上げた後に、制作会社にデザインとコーディングだけを依頼しています。

「餅は、餅屋」という諺がある通り、専門家を間違えると期待した成果を得ることはできません。

試しに「WEB集客に強いホームページ制作会社」を検索して、制作事例をチェックしても、商品の魅力を十分に引き出し、購入にまで誘導できているサイトは、数えるほどしかありませんでした。

制作会社に依頼し、優秀な担当者がつけばラッキー。この数えるほどの成功事例に当たるかも知れません。

しかし、実績のある企業だからと言って、全てが優秀な担当者がつくとは限りません。
現実は、探究心も問題意識も少ない担当者がつくケースが多く、それにあたると悲劇以外の何者でもありません。

優秀な担当者を指名できれば、良いのですが…残念ながら、紹介で無い限り指名は不可能でしょう。

具体的にイメージするために、身近な住宅建築を例にとって考えてみましょう。

実際に家を建てるプロですが、住みやすさや快適さを追求したい…という要求にバッチリと対応できる大工さんはごくごく少数であることは想像に難くありません。

100平米程度の一軒家をエアコン1台で全館冷暖房できる「高機密住宅」専門の設計士さんがいるように、快適な生活を求めるなら、多少のコストが掛かっても相応の専門家に頼む方がベストです。

大手住宅メーカーでも『高気密住宅』を謳っているところもあるでしょう。
しかし、施主が要求する間取りが気密性を損なう要求だった場合…
優秀な担当者であれば、施主に間取りと機密性についての功罪分析を提示した上で、最適な方針に導くでしょうが、普通のサラリーマン担当者に当たってしまうと『こんなはずじゃなかった…』の後悔の念に駆られることになります。

LPの制作も、成果をあげるためには『セールス(販売力を高めるためのシナリオ制作力)』と『デザイン』『コーディング』と3分野に専門家がまたがっており、制作会社のなかで担当部署が分かれていることが普通。

発注者は、営業窓口となる担当者の顔は見えますが、シナリオライター(セールスライター)、デザイナー、制作技術者の三人の顔は見えません。もしかしたら、技術者だけが制作を担当し、顧客の購買心理を知り尽くしたライターも、瞬間的に理解を引き込むデザイナーさえいない可能性すらあります。

それで成果を上げるのは、100%不可能です。

LPは、かなり科学的に解明されていて、随所に「成約率を高めるテクニック」を散りばめる必要があります。

例えば、カート廃棄率(かご落ち率)という指標を改善するだけで、成果が大きく変わったりします。

先日、Amazonの調査レポートを調べていたら、ショッピングカートに入った商品の69%は購入されないことが分かりました。

つまり、購入しよう!と買い物カゴに入れている人のうち、100人中69人の人たちは、購入をやめたという結果です。

商品に注目してもらい、興味を惹きつけ、欲求を駆り立て、買い物かごに入れたところまでは成功したのに、7割近い人たちも逃げてしまっているという現実があるのです。
ランティングページでの成約率は、商品によっても異なりますが2〜5%と言われています。

100人集客して、買ってくれるのは、2〜5人。
この買ってくれた人は、カート廃棄をしなかった30%の人たちなので、カートまで辿り着いた人は、6.7人〜16.7人もいたという計算結果になります。

コンバージョン率を改善するには、様々な検討事項が必要になりますが、カート廃棄率を改善するのは、テーマが絞られてくるので、比較的簡単にできます。

実際、藤冨が、LPの研究を始めた15年ほど前は、カート廃棄率は80%程度で、ここを改善すれば成約率も2倍になるのでは?と仮説を立て、カートに入れた後も、営業でいうクロージングトークをちりばめたところ…

想定通り、売上を2倍に引き上げることに成功した経験を持っています。

たった1時間程度の労働時間で、売上2倍。
成果を出すための努力は、時間よりも、顧客視点での想像力が大事なのです。

ランティングページは、どれだけどれだけ興味関心を引きつけられるか。どれだけ欲求を駆り立てたれたか。どれだけ行動(購入)を起こすことに成功できたか…全て計測可能であり、それぞれに改善策が用意されています。

キーエンスの営業力の強さの一つに、営業マネージャーが部下のセールストークを事前に確認し、効果的な商談ができるようロープレをさせる習慣があります。

LPも商談と一緒です。

顧客の購買心理を知り尽くした営業マネージャーが監修するサイトと、マネージャー不在のサイトでは、どちらが成果を出すのかは火を見るより明らかなはずです。

御社は、何かの成果を出そうとした時、適切な専門家を選び出し、的確な助言をもらうよう体制を整えていますでしょうか?